芭石鉄道
0号車輌
撮影日 2003年11月30日
この目で見たものがあまりに突拍子もないものだったとき
こうではないか、と一方では思いつつ、
もう一方ではそれを理解できないものとして考えの範疇から除いてしまうものだ。
早朝の芭溝の駅で見たもの。
担架に乗せられた白い布を被せられたもの。
頭の中ではそれかと思うが、常識ではそんなものがあるわけないと思ってしまう。
芭溝の駅で列車の到着を待っていたものは、
遺体だった。
0号車輌は霊柩車だった。
ガイドのジャンさんが中国人の死生観は死は忌むべきものではなく
誕生と同じ価値を持つもので、カメラを向けることは失礼にはならないと説明された。
爆竹が鳴らされ遺体は車輌に安置された。
さすがにカメラを向けるのは憚られたが
扉を閉めているときに1枚撮らせていただいた。
上り一番列車で石渓に行った0番車輌は二番列車で起点站に戻ってきた。
車体側面に搬入用の横長の扉がある。
反対側の側面は他の車輌と同様扉はない。
片側に木製のベンチシートがある。
他の車輌には中央部にあるハンドブレーキが車端に設置。
この翌日の早朝、芭溝の宿で爆竹の音を聞いた。
市場では喪章をつけた人を見かけた。
また0番車輌が運転されたのだろうか。